茶の湯のお稽古からは遠ざかってしまいましたが、出会いあり、【茶事】という世界にすっかりハマってしまいました。
今回のお席はマナビの会で略式ですが、
NHKの「趣味ドキッ!」で先日『夜咄茶事』がオンエアされ、
亭主の炭屋旅館女将が、燭台を効果的に使う演出や所作に心奪われました。
お茶のお稽古もそうでしたが、学ぶ上で良い先生に巡りあったことは、わたしのお茶好きに大きく作用しているように感じております。
毎年、年始の初釜は、他の曜日の生徒さんと御一緒させていただくことが楽しみでした。
そんな今日、大変な偶然がありました。
新宿から乗り換えて電車に乗ると、着物姿の方が座っていらっしゃいました。
待ち合わせのおひとりかもと、そばに行ってみると、以前同じ曜日でお稽古をさせていただいていた先輩でした。
実に再会は3年ぶり…。
伺うと行き先も同じ。
これからの茶事へ、以前のお教室仲間とご参加のことでした。
わたしは、昨年からですが、先輩はもう何年もいらしているとのこと。
どうやら前回の『口切りの茶事』までは、曜日が違いニアミスをしていたようです。
「ご縁があるのですね」
そういうと、先輩は、
「お茶が好きということが繋がるのでしょ」と、仰いました。
今日は『初釜』の茶事に参加させていただきます。
待合にてしばし待つ間、ご亭主の心入れを設いから感じます。
お軸には、帛紗に「波 和 遊」
うさぎが波で遊んでいます。
これをなんと読むか?
波に和して遊ぶ。
「ハワイユー How are you」
だそうです。ウフフ。
「仏手柑(ぶっしゅかん)」
古くから生け花やお茶の席で、
見た目が、まるで合掌する仏さまの両手のようにも見えることからこの名前が付けられ、縁起物の花材として使われてきたそうです。
太宰府天満宮に納めてられているお人形と言ってらしたかしら?
洋風の設い?
奥は箱庭のようにも感じます。
絵馬?
に、しては厚みがあると思いましたら、駒だそうです。
三嶋駒は、開運大吉の御守として、また心願成就・家内安全の縁起物として尊ばれ、
「一年無事に過ごせますように」と、一年間荘るそうです。
明治天皇の有名な御製
「さしのぼる 朝日のごとく さわやかに もたまほしきは 心なりけり」
空高く昇って行く朝日のように、いつもすがすがしく、明るく、さわやかな心を持ちたいものです。 朝日の昇るのを見ると、誰でも明るく、さわやかな心になります。の意。
新年に相応しいお軸です。
また、左には、結び柳も…。
結び方は流派で異なるそうですが、
昔の中国では人と別れるとき、送る者と送られる者が、双方柳の枝を持って、柳の枝と枝を結び合わせて別れる風習があったそうです。
その風習を千利休が送別の花として
「鶴一声胡銅鶴首花瓶(つるのひとこえこどうつるくびかへい)」に柳を結んで入れたのが,茶席で用いられた最初ではないかといわれています。
ちなみに垂れないやなぎは、木へんに易の楊をあてるそうです。
永楽善五郎の香合。
リサガスのうさぎちゃんみたい。
懐石をいただく前の設い。
三友棚(さんゆうだな)は、
地板が四方、天板が丸で、竹の二本柱の小棚で、明治初年に大徳寺471世牧宗宗壽和尚が三千家の融和の為として大徳寺境内の松と竹を提供して作らせた棚で、
表千家碌々斎は松の天板と地板に摺漆、
裏千家又 玅斎は竹の二本柱、
武者小路千家一指斎は天板の木口に「溢梅蒔絵」(こぼれうめまきえ)をそれぞれに好み、
松竹梅を表して三千家の末永い友好を表し、これに牧宗和尚が「三友」の銘をつけて、三千家に三個そして大徳寺に一個と計四個製作した棚です。
鏡餅は、餅を神仏に供える日本の伝統的な正月飾り(床飾り)であります。
飾り方は地域によって様々ですが、お箸がさしてあるのははじめてみました。
お訊ねしそびれましたが、「年神(歳神)様」への供え物、依り代であるからでしょうか?
伊勢海老は組み紐でした。
天板に荘られた、雅やかに意匠された兎の棗。
波にうさぎのつまみの水指は八角形。
天板は丸、地板は四角の三友棚に荘ることを告げた作家さんがデザインして納められたそうです。
先生「さすが」と思ったそうです。
青海波ではないのかな?
キュートなうさぎのつまみ。
色合いもことほぎな印象です。
本日のお献立。
お雑煮。
関東仕立てですね。
お餅がお椀に付かないように小松菜が敷かれていました。
酒器。
染付の蓋、お洒落です。
ご亭主からお酒が振る舞われましたので、向付のひらめの昆布巻きをいただきます。
お皿にのせられたおせちですね。
うさぎの器に強肴。
ホウレンソウは、「宝、蓮、草」と、お品書きにあります。
『夢うさぎ』下井草「青柳」製。
薯蕷饅頭(栗入り)
主菓子をいただき、ここで一旦、中座します。
初座は軸と香合、後座は軸を外し花が設えられますが、軸は外してありませんでした。
そのままのことを「花を添える」というのだそうです。
濃茶点前が始まります。
各服点で濃茶が練られます。
客は11人。
利休までは回し飲みではなかったそうなのですが、この形はしばらく続きそうです。
新年,初釜で濃茶の時に 使うおめでたいお茶碗「嶋台」
私は金でいただきました。
金銀二段になっていて盃の形、蓬莱山を表している濃茶に使われる茶碗が出来たのは、江戸中期。表千家七代如心斎によってだそうです。
裏千家は、それまで、楽慶入作の黒・赤・白の三椀の「三都茶碗」だったとか…。
お詰めは、「柳桜園茶舗」
お茶銘は、「長松の昔」
茶入は、肩衝、はやしえいじ作。
茶杓 「大徳寺 明堂宗宣」
銘 「碧玉(へきぎょく)」
裂地「角倉金襴(すみのくらきんらん)」
中立ちをした際にお話のあったお玄関の色紙を拝見します。
元NHKアナウンサー山川静夫氏作の
「暫く」の画。
氏は歌舞伎精通した方だそうですが、先頃病に倒れ、復活なさったばかりとか。
先生は、舞台の清めの意味と仰いましたが、その横には歴代の団十郎襲名時のお扇子が…。
暫は団十郎の十八番でもありますゆえでしょうか?とも思いました。
上2枚は、11代団十郎、
3、4枚目は、12代団十郎、
そして現13代が団十郎が襲名した際に配られたといいお扇子が荘られています。
牡丹は、成田屋の花だそうですね。
だから娘が4代目市川ぼたんということなのですね。
お干菓子。
落雁、うさぎです。
今度は薄茶を11碗、点てていただきます。
正客茶碗。
ハツ*ハルに相応しい日の丸あさひ。
次客茶碗。
琳派の絵のようなうさぎ。
私がいただきましたお茶碗には、万両に縁にうさぎがおりました。
お詰めは、「柳桜園茶舗」
お茶銘は、「峰の白」
本当なら投扇興という、日本の伝統的ゲームをやりたいのですが…。と先生。
今日は初釜ということで、くじに当たった方にプレゼントがあるとのことでした。
残念ながら、私はハズレてしまいました。
最後にこちらの薄茶器が天板に荘られました。
両脇にうさぎがおります。
色々見せていただけて有難いです。
こちらは元々水指であったものを薄茶器として作られたものだそうです。
紅毛のような印象。
こういったのを用いるのも楽しいですね。
葵のご紋のようにも見えますが、日本に古来からあるハート文様、猪目?
蓋置も素敵でした。
水指が「波にうさぎ」でしたからでしょうか?
うさぎさんの嵐のような数々のご亭主のおもてなしでしたが、それはわたしたちゲストにとってのプレゼンテーション。
たくさんのものの中からひとつでも真似が出来たら良いなと思いましたし、そうしたことを教えてくださる先生に感謝の気持ちでいっぱいでした。
有り難うございました。
2022年『口切りの茶事』