「『ボレロ』が観たいです」
その言葉に反応してくださって、この舞台を早速予約してくださったH美さん、有り難うございました。
上野水香さんのステージ、実は初めて拝見いたします。
もちろんその華々しい経歴や噂を聞いておりますゆえ、間違いはない舞台と思っておりました。
『ボレロ』と云えば、
わたしら世代は「愛と哀しみのボレロ」です。
この映画はクロード・ルルーシュ監督の作品ですが、バレエを知らない誰もが魅了されました。
曲は、最初から最後まで1つのクレッシェンドのみで、同じリズムが繰り返されます。
その後、コマーシャルに使われたり、フィギュアスケート選手が選曲したりで、大変メジャーになりました。
けれど『ボレロ』について知る人は多くないのではないでしょうか?
わたしもそのひとりです…。
『ボレロ』の作曲者は、ラヴェル。
バレエのために書かれた曲ですが、
知れ渡ることになったのは、モーリス・ベジャール氏が振付をされたことからだったかもしれません。
この映画やシルヴィ・ギエムの踊った「モーリス・ベジャールによる振付」は、
日本で初めて、パフォーマンスとしての知的財産権を獲得していて、許可なくこの振付で踊ることは許されていないそうです。
上野水香さんは、故モーリス・ベジャールに直接指導を受け、『愛と哀しみのボレロ』の劇中ダンサー故ジョルジュ・ドン、100年にひとりの天才プリマ シルヴィ・ギエムらとともに『ボレロ』を踊ることを許された世界でも数少ないダンサーの一人です。
その『ボレロ』を観れる。
それはとても貴重なことなわけです。
本当にありがとう!H美さん!
朝から雪の予報に、電車が運休?もしかして中止?帰宅難民になるかも…。
の不安を抱えながら過ごしていましたが、出掛ける夕刻には、雪は雨になり、劇場へ向かう足にも問題はありませんでした。
久しぶりの上野東京文化会館。
上野水香さんが所属する東京バレエ団の東京公演は、ほぼこちらで開催されるようです。
東京文化会館は、「首都東京にオペラやバレエもできる本格的な音楽ホールを」という要望に応え、
東京都が開都500年事業として故前川國男氏設計による代表的なモダニズム建築として、1961(昭和36)年4月にオープンしました。
“奇跡的”とも言われる音響の良さと相まって、その名は広く世界にまで知られ、
『音楽の殿堂』として多くの人々に親しまれています。
年末の『第九』
素晴らしかったのを思い出します。
音を響かせる雲形のパーツは彫刻家、向井良吉の作。
青緑黄色のシートが点在する客席はお花畑のイメージだそうです。
上野水香さん、
2022年末に所属している東京バレエ団の規定による定年(45歳)を迎えたため、その後に関心が集まっていたのですが、
2023年度は、新たに設けた「ゲスト・プリンシパル」という立場で、引き続き東京バレエ団で活動することとなったそうです。
からだを酷使する職業ゆえのことでしょうが、昨今はスポーツ選手もそうですが、長く活躍できるアスリートが増えているように思います。
また水香さんのように、バレエ団の顔のような存在を失うことは、バレエ団にとってもマイナスでしょう。
上野水香オンステージは、メインダンサーの怪我により、内容と配役が変わりました。
ゲストのマルセロ・ゴメスとのローラン・プティ の『チークトゥチーク』は、今日なかった演目だったので、拝見出来たことは、嬉しかったです。
『ボレロ』は、シルヴィ・ギエムの舞台を
YouTubeで予習してきましたが、
やっぱり、本物の上野水香さんの舞台は鳥肌でした。
ボレロはスペイン セビリアの酒場で、一人の踊り子が舞台で足慣らしをしているところから始まります。
踊り子はどんどんテンションが上がっていき、自然と振りが大きくなっていく。
そして、それを酒場にいたお客さんたちが踊り子の踊りを見初めて
しだいにお客さんたちもテンションが上がって、最後は一緒に踊るというものです。
赤い円形の舞台にいるのが主役の「踊り子」で、
その舞台下に座っているのは「酒場のお客さん」という設定です!
ボレロはそんな「情熱の炎が広がって強くなる」ことを表現していて、カッコいい。
身長が170cmある水香さんは、手脚がすらりと長いので舞台映えします。
『白鳥の湖』もでしたが、しなやかでエネルギッシュで華麗。
ラストは、お客様の感動が
スタンディングオベーションという表現になりました。
本当に素晴らしかったです。