国立西洋美術館は6月10日で60周年だそうですね。その節目に『松方コレクション展』が開催中です。
新聞で記事を読んでいて、絶対に行きたいと思った美術展だったので、珍しく前売りを購入していました。

NHK BSで3月頃オンエアの「アメリカ人が愛した日本美術」という番組を見ていました。アメリカ人のコレクターによって日本美術は評価され、異国の地に渡ることになりました。戦争を境に多くの資産家や寺が所蔵品を二束三文で売買したと言います。しかしながら焼失を免れて国宝クラスの作品が今も残っていることは幸いなことだと思いますし、日本では評価がイマイチだった作家が海外で高評価で注目されたのもこういった時代背景があってのことだと思います。

当時、松方コレクションの取引にも携わっていたというアメリカで美術商をしていた山中商会は日本が敗戦したことで、すべての美術品を接収され、売買されたそうです。
そのような運命を同じように受けていた。それが松方コレクションでした。
 
2016年 世界文化遺産の登録で、その存在にスポットが当たりましたが、国立西洋美術館は、松方コレクションの受け皿として創立されました。特別展が行われて観賞する時は、必ず常設展も見るのですが、その常設のほとんどが松方コレクションです。
松方氏の説明書きは造船業で財をなして海外の美術品を収集したということ以外多くを語っていません。展示の作品達が数奇な運命を辿ったことは今まで知りませんでしたし、知ろうとするきっかけがありませんでした。
逆にカフェまでがその名前である西洋美術館の顔、モネの睡蓮がなぜにここにあるのかが不思議な感じさえしていました。
それが今回、鮮明になりました。

敵国人財産として接収されたのは先のアメリカでの山中商会と同じですが、戦後、吉田茂がサンフランシスコ講和条約で働きかけ、フランスから寄贈返還されました。
当時、重要作品として留め置かれた数は20点。現在、フランス国内の美術品として展示されています。
残念ながらロンドンの倉庫にあったコレクションはほとんどが焼失してしまったそうですが、近年、松方コレクションの書簡が見つかり、またガラス乾板に残されたものでコレクションの全容が明らかになってきたそうです。
今回は日本の松方コレクションの他今はオルセーにある写真のゴッホの作品も展示されています。損傷が激しく修復後も上部は剥落したままの展示、モネの『睡蓮 柳の反映』もAIの力でどのような作品かモニターで見ることができます。1959年、作品達が輸送され開館時に多くの人達が来場した映像も胸に迫るものがあります。

美術館の前庭のシンボル、ロダンの作品のエピソードにも感動します。
日本人である松方氏は見たことのない西洋の美術を日本人に見せてやりたい!そう思って収集を重ね、共楽美術館を作るというヴィジョンがあったそうです。
当たり前のように今そういう作品を観れることはこのような方がいたからこそと感謝の気持ちでいっぱいになった美術展でした。

私の拙い文章ではなかなか全容がわからないと思うのでこちらを参考にしてください。

常設展示の本館の見処はこちらから、19世紀ホールの光と赤に私はいつも感動してます。

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