初釜でした。
以前このお軸をお借りして、意味を知り、なんとなく新年にふさわしかったお言葉。
そんな風にぼんやり覚えていました。

「万歳千秋楽」(ばんざいせんしゅうらく)
【朗詠(ろうえい)】 という、漢詩に旋律をつけた日本の歌曲の一形式の中にある一節だということです。
 「嘉辰令月歓無極 万歳千秋楽未央(かしんれいげつかんむきょく ばんぜいせんしゅうらくびおう)」
 

「良き時節にあって、よろこびはきわまりなく、千年万年を祝ってもその楽しみは尽きることがない」という祝言の句です。
願いを込めて、選びました。

茶花は水仙です。
新春を演出する花の中でその可憐な風情が歳を重ねるごとに好きになっています。


本当は、【結柳】(むすびやなぎ) にしてみたかったのですが、探す時間がなく、今年もお花で済ませてしまいました。

以前、知り合いのお宅にお招きいただいた時、玄関の正面の壁にこの飾りがされていました。
その頃は若くもあり、茶心などというものも、知識も持ち合わせていなかったものでしたから、枝先が長く床に垂れている様子が少し不思議な感じがしていました。

このことを思いついた時調べてみたのですが、これは、お正月に行なう初釜の床飾りなのです。
床に飾る意味は、『一陽来復』 を祝ってとのことですが、青々とした長い柳の枝を2,3本束にして輪を作り、床の隅、比較的赤い位置に打ってある柳掛釘(やなぎかけくぎ)に掛けた青竹の花入にいけるのがお約束です。
いけばなでは本来、枝を結ぶのはタブーだそうですが、結柳だけは特別だといいます。

結柳は、裏千家十一台の玄々斎がお正月に宮中に上り、柳を賜って持ち帰る時に地面に触らぬようにと結んだことが始まりと伝えられているそうです。

冬の青竹と青柳、どうやって手に入れるのか?
来年こそはこのしつらえを実践したいと思います。

 
 点前畳の正面にあり、床柱前にある流木。
【結界】(けっかい)と言います。

普段は、風炉先という正座をして胸のあたりまでの屏風を使いますが、この日のお茶室は広間で、先にお客様が座られた時に、お顔も点前する姿も見えないということで、このようなものを使うことにした次第です。

【結界】(けっかい)とは、
聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ること。
本来は仏教用語であるそうですが、古神道や神道における神社なども、同様の概念があることから、言葉として用いられてます。
大和ことばとしては端境だとか境だとかというように言われています。

密教では、清浄な領域と普通(もしくは不浄)の領域との区切ることでいくつかの種類があり、高野山や比叡山は国土結界とされているといいます。

神道においては、神社や寺などの境内や建築物では意図的に段差を設けたり、一般の家庭などでも、注連縄飾りや節分の鰯の干物なども結界であるといいます。

日本建築の襖、障子、衝立、縁側などの仕掛けも広い意味で結界という扱いのようです。

一般家庭で珍しくなった暖簾(のれん)は、店の顔としてのこれを下げることで往来と店を柔らかく仕切ったり、また時間外には仕舞うことで営業していないことを示めしたりします。
これも日常レベルの結界です。

茶道においては、もてなす側の亭主と客との間にある暗黙のルールを視覚化するため、種々の仕掛けを設け、これを結界としています。
関守石、にじり口、つくばい、そして先ほど述べた、客畳が道具畳に接続している時に、使用する「炉屏」というものを置き、結界としています。

 
 広間を初めてお借りしてのお稽古です。
床も奥行き間が感じられ、お客様との距離はあるはずなのに、さえぎるものが少なく、お点前する手が震えるほど、緊張をいたしました。

今日のお軸は、『明歴々』。
この後には『露堂々(ろどうどう)』と続く、禅語です。

明歴々露堂々 (めいれきれきろどうどう)
とは、すべての存在が明らかに、すべての物事がはっきり現われ出ているさまで、そのままの姿のすべてが真理の現われであり、仏の表れであるという意味だそうです。

今年最後のお稽古で、この一年を振り返るようなお言葉。
自分はどの程度フェアでいられたか?正直に物事と直面したかなどなど、今年一年を振り返り、来年の一年を誠実に暮らしていこうと心するのでした。

茶花は、前回、ブログでもその焼き物について触れた志戸呂焼の花器に南天が生けられました。
 「ナンテン」という音が「難(ナン)を転(テン)じる」に通じるところから縁起木として親しまれていて、鬼門や裏鬼門に植えると良いという俗信があります。
また、葉には防腐作用があることが知られており、おせち料理や赤飯、魚料理などに添えられ、長寿を祈願するということや、不浄を清めるという意味もあるといいます。

新しい年を感じるお軸と茶花でした。

 
 この日お借りした水指とお茶碗、志戸呂焼(しどろやき)という代物です。

渋いのですが、深みがあり、取り合わせで邪魔にならない存在で目を惹きました。
調べてみました。

静岡県島田市金谷(旧金谷町)で焼かれる陶器で、歴史は古く、足利時代(1500年代)に瀬戸・美濃の陶工が志戸呂郷に窯を築いたのが始まりだとされているそうです。
天正16年(1588年)徳川家康から焼き物免許の朱印状をさずけられてから、一躍天下に知られるようになったということです。

遠州七窯のひとつといわれる 志戸呂焼は、

志戸呂で遠州の好みの茶器を製したのは寛永年間(1624〜1644)といわれているそうです。

遠州七窯とは、千利休、古田織部の系譜をくみながら独自の茶の美を築いた小堀遠州が、作陶の指導にあたったり、自らの意匠により茶道具を制作させた窯をいい、その産品は粋人から珍重され、型・色・陶土質まで細やかな指導がされたといいます。
しかしながら、
その実態はまだつかめていないという話もあります。

遠州七窯

志戸呂( しどろ) 静岡

膳所 (ぜぜ) 滋賀

上野 (あがの) 福岡

高取 (たかとり) 福岡

朝日 (あさひ) 京都

赤膚 (あかはだ) 奈良

古曽部 (こそべ) 大阪

「綺麗さび」の美意識のおめがねに叶ったのだという説も、在り得る話なのだと思う、侘び寂びの協調性を想像した、焼き物との出会いでした。

 

 
 炉の季節になりました。
炉開きとしては、少し遅いお稽古になってしまいましたが、お茶室からの kesiki は晩秋そのもの。
赤や黄色が目に飛び込んできました。
その美しいこと。
日本の紅葉はなんて素晴らしいんでしょう。
お茶室と季節の移り変わりは、共存していることを実感いたしました。

多忙な日々を送っていると、本当の豊かさを忘れがちですが、こんな小さな感動や宇宙にいるような時間を過ごす時間が、とても幸せなことと感じます。
茶の湯って、本当にエエのです。

お軸は、

「開門落葉多」(門を開けば落葉多し)

 

門(もん)を開(ひら)けば落葉(らくよう)多(おお)し、
雨音を聞いている間に夜が明けたので、門を開けてみると一面に枯葉が落ちていた。
雨音は枯葉が軒先をたたく音だった、という幽寂な閑居の風情。
という意味だそうです。

まさに
この日の風情から想像する禅語でした。

ここで「開門」とは、単に門を開くということだけではなく、悟りを開くという意味も含まれているといいます。
今まで自分が、そうだと思っていたことがそうではなかった瞬間が訪れたりすることはありますが、自分の心が変わるような厳かな悟りという次元には到達することは、容易いことではありません。

雨音だとばかり思っていた音が、実は落ち葉の音だったことを悟った瞬間のようなことは度々あっても、それが身の回りで起こる全てのことはそうであると思えるようになれば、悟りを開いた瞬間を感じることができるのでしょうか?
悟りが開かれなくても、小さなそんな瞬間の積み重ねで、気づくことが出来、寛容な心になれ、そんな気持ちを忘れないような自分になれればいいなと思います。


茶人にとっては、「茶人の正月」とも言われる大きな節目の月である炉開きの月。
お道具では、古来より三部、
『新瓢のふくべ(瓢箪)』、『織部』、『伊部(備前)』 の3点を取り入れながら、正月と同じく、松竹梅や、松菊などお目でたいものに加え、
『柚や橙』、『柿』、『紅葉』、『銀杏』などの季節感を添えたものを、取り合わせるといいます。

お菓子は、その古式に則った”亥の子餅”、”ゆず餅”をいただきました。
床は、織部の香合を荘りました。
茶花は、富士山麓の紅葉と冬枯れを思わせる、俗称は”猫じゃらし”の【エノコログサ(狗尾草)】です。


 風炉最後のお稽古の日。
お点前は、この時期のみの「中置」のお点前をいたしました。

茶花は、紅葉の葉と、赤い実になったアキグミでしょうか?
先生が富士山麓からご持参してくださった茶花だったのですが、秋の山の紅葉や実は、その姿が変化していて、何の葉か?何の実か??わからないものなのですよね。
(赤い実の図鑑)
また、先生は滋賀の旅から戻られたばかりで、窯元で手に入れた信楽の香合をお持ちくださいました。

お軸は以前もお借りした「松老雲閑」(まつおいくもしずかなり)
この後、「曠然(こうねん)として自適す」と続くお言葉です。

老いたる松のごとく、 静かに流れる雲のごとく、 ゆったりと自然のままに心を任せて悠々と生きる。

「臨済録」の言葉で、臨済義玄が師の黄檗のもとで過ごした日々を回想する言葉なのだそうですが、後に、禅僧の理想の境地を表す言葉になったそうです。



この日、お隣のお茶室では、お茶会が行なわれていました。
殿方の先生のご様子で、その姿は、絽の羽織 「十徳」を身につけておられました。

この姿、袷の時でも絽であることに疑問抱く、我がお茶シスターズから質問がありました。

先生からそれが 【十徳】 (じっとく) というシロモノであることを教えていただきました。

調べてみました。
江戸時代には、茶坊主頭は十徳・長袴。
茶坊主は十徳・着流しが普通であったそうです。
利休の像は道服をつけていますが、時代が下がると道服は正装に、十徳は略装となり、江戸時代には、文化人とよばれる僧侶、医師、絵師、儒者などは、この十徳を用いたそうです。

脇を縫いつけてあるので、「広袖」とも呼ばれ、直綴(じきとつ)からの転訛とも言われているようです。
共紐の半羽織風のもので、黒色の麻や紗地で作られ、単仕立で脇を縫いつけてあり、今では、茶人の礼服に用いられているのだそうです。

また勉強になりました。 
 


 【流し点】は、特殊点前の一つで、侘びた趣のある点前で、客の真向かいに座って、点前を行なう亭主が親しい方を一人か二人程度客を呼び、和やかに語り合いながら茶を点て、主客ともにくつろいで楽しむ点前だといいます。

ですから、茶室は、広間ではなく小間、大人数ではなく少人数というのが適当であるお点前です。

炉の流し点は古くから伝わってあったのですが、風炉の流し点は、昔あったものが一時中断していたものを、裏千家十三代円能斎が明治二十八年頃、再興されたものだということです。

一番特徴的なのは、水指を置く位置で、運び出して置く時もその置く場所となる貴人畳の角をめざして体を斜めに座ります。
茶碗、棗も、普通より右側に据えた風炉と水指を結ぶラインに置かれることになります。

この日、初めて風炉の流し点を教えていただきました。

おしゃべりなどをすると、手がおろそかになってしまうという具合でしたが、確かに距離を縮めることによって醸し出させた和やかさを感じました。


 終らない夏かと思って向かえた9月。
暑さ寒さも彼岸までと、教えがある通り、秋分の日のお彼岸の中日から、いきなり涼しくなりました。

あんなに暑かった8月。
お茶室、着物姿、たぎる湯の沸く釜の前。
それは、9月、まったく違う環境でした。

汗、少しはかいていたかもしれません。
でも、拭うほどではありませんでした。
お着物も夏用ではなかったのに…。

いただいたお菓子。
季節の栗のものでした。
8月、涼感漂う錦玉をいただいたことが、はるか昔のようでした。
季節は巡り巡って、秋です。

床の花、
薄(すすき) 水引(みずひき) 秋明菊(しゅうめいぎく)。
 
お軸は 『月にススキの図』。
分類するならば、画賛ということになるのでしょうか?
大玄書であります。

秋を存分に感じる設えでした。


 8月、季節限定のお点前、【葉蓋】 と 【洗い茶巾】 のお点前をいたしました。

葉蓋のお点前に使う水指は、本当なら、背の高い受け筒というのを使うのが、裏千家ではお約束になっているようですが、お借りしているお道具でのお稽古なので、かんにんしてくださいませ。
しかしながら、この日使った風炉先の渦や、青楓の平茶碗、葉蓋にした蓮の葉がなんとも涼しげではありませんか?

葉蓋の扱いのお点前は、HPで紹介しております。 


洗い茶巾のお点前はこちらから。


 7月は、夏休みをいただきました。
なので、約二ヵ月ぶりのお茶のお稽古です。
それくらい間が開くと、頭は真っ白。
お点前の記憶ははるか彼方です。
けれど、茶室に入って、湯の沸く音や床の茶花、そしてお茶をいただくと、この時間をあらためて、貴重な時間だということを感じます。

8月、それも今年は本当に酷暑で、35℃を越える猛暑日もかなりありました。
翌日の23日は処暑で、暑さも和らぐはずなのに、日差しはまだ真夏の光を感じ、釜を前にお点前をすることは、拷問に近いとさえ思えるほどです。
夏の茶の湯は修行ですな。
家に戻って、帯を解くとおそろしいほどの汗をかいていました。

先生も、夏は、いつもならお休みとおっしゃいます。
けれど、無理言って、お願いしました。感謝!
月に一度、この時間を持てることが、本当に楽しみですし、格別なのです。

今日、お軸は6月と同じになってしまいました。
「三級波高魚化龍」 香林書というお軸です。
この説明は、6月27日のブログに記しましたので、ご覧になってみてください。

茶花は、先生のお住まいがある富士吉田で、咲き始めたという吾亦紅(われもこう)と、釣船草(つりふねそう)不如帰(ほととぎす)。
花が帆掛船の形に似ているという「釣船草」、虫食いも景色になって風情があります。


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