炉の季節になりました。
炉開きとしては、少し遅いお稽古になってしまいましたが、お茶室からの kesiki は晩秋そのもの。
赤や黄色が目に飛び込んできました。
その美しいこと。
日本の紅葉はなんて素晴らしいんでしょう。
お茶室と季節の移り変わりは、共存していることを実感いたしました。

多忙な日々を送っていると、本当の豊かさを忘れがちですが、こんな小さな感動や宇宙にいるような時間を過ごす時間が、とても幸せなことと感じます。
茶の湯って、本当にエエのです。

お軸は、

「開門落葉多」(門を開けば落葉多し)

 

門(もん)を開(ひら)けば落葉(らくよう)多(おお)し、
雨音を聞いている間に夜が明けたので、門を開けてみると一面に枯葉が落ちていた。
雨音は枯葉が軒先をたたく音だった、という幽寂な閑居の風情。
という意味だそうです。

まさに
この日の風情から想像する禅語でした。

ここで「開門」とは、単に門を開くということだけではなく、悟りを開くという意味も含まれているといいます。
今まで自分が、そうだと思っていたことがそうではなかった瞬間が訪れたりすることはありますが、自分の心が変わるような厳かな悟りという次元には到達することは、容易いことではありません。

雨音だとばかり思っていた音が、実は落ち葉の音だったことを悟った瞬間のようなことは度々あっても、それが身の回りで起こる全てのことはそうであると思えるようになれば、悟りを開いた瞬間を感じることができるのでしょうか?
悟りが開かれなくても、小さなそんな瞬間の積み重ねで、気づくことが出来、寛容な心になれ、そんな気持ちを忘れないような自分になれればいいなと思います。


茶人にとっては、「茶人の正月」とも言われる大きな節目の月である炉開きの月。
お道具では、古来より三部、
『新瓢のふくべ(瓢箪)』、『織部』、『伊部(備前)』 の3点を取り入れながら、正月と同じく、松竹梅や、松菊などお目でたいものに加え、
『柚や橙』、『柿』、『紅葉』、『銀杏』などの季節感を添えたものを、取り合わせるといいます。

お菓子は、その古式に則った”亥の子餅”、”ゆず餅”をいただきました。
床は、織部の香合を荘りました。
茶花は、富士山麓の紅葉と冬枯れを思わせる、俗称は”猫じゃらし”の【エノコログサ(狗尾草)】です。


 風炉最後のお稽古の日。
お点前は、この時期のみの「中置」のお点前をいたしました。

茶花は、紅葉の葉と、赤い実になったアキグミでしょうか?
先生が富士山麓からご持参してくださった茶花だったのですが、秋の山の紅葉や実は、その姿が変化していて、何の葉か?何の実か??わからないものなのですよね。
(赤い実の図鑑)
また、先生は滋賀の旅から戻られたばかりで、窯元で手に入れた信楽の香合をお持ちくださいました。

お軸は以前もお借りした「松老雲閑」(まつおいくもしずかなり)
この後、「曠然(こうねん)として自適す」と続くお言葉です。

老いたる松のごとく、 静かに流れる雲のごとく、 ゆったりと自然のままに心を任せて悠々と生きる。

「臨済録」の言葉で、臨済義玄が師の黄檗のもとで過ごした日々を回想する言葉なのだそうですが、後に、禅僧の理想の境地を表す言葉になったそうです。



この日、お隣のお茶室では、お茶会が行なわれていました。
殿方の先生のご様子で、その姿は、絽の羽織 「十徳」を身につけておられました。

この姿、袷の時でも絽であることに疑問抱く、我がお茶シスターズから質問がありました。

先生からそれが 【十徳】 (じっとく) というシロモノであることを教えていただきました。

調べてみました。
江戸時代には、茶坊主頭は十徳・長袴。
茶坊主は十徳・着流しが普通であったそうです。
利休の像は道服をつけていますが、時代が下がると道服は正装に、十徳は略装となり、江戸時代には、文化人とよばれる僧侶、医師、絵師、儒者などは、この十徳を用いたそうです。

脇を縫いつけてあるので、「広袖」とも呼ばれ、直綴(じきとつ)からの転訛とも言われているようです。
共紐の半羽織風のもので、黒色の麻や紗地で作られ、単仕立で脇を縫いつけてあり、今では、茶人の礼服に用いられているのだそうです。

また勉強になりました。 
 


 【流し点】は、特殊点前の一つで、侘びた趣のある点前で、客の真向かいに座って、点前を行なう亭主が親しい方を一人か二人程度客を呼び、和やかに語り合いながら茶を点て、主客ともにくつろいで楽しむ点前だといいます。

ですから、茶室は、広間ではなく小間、大人数ではなく少人数というのが適当であるお点前です。

炉の流し点は古くから伝わってあったのですが、風炉の流し点は、昔あったものが一時中断していたものを、裏千家十三代円能斎が明治二十八年頃、再興されたものだということです。

一番特徴的なのは、水指を置く位置で、運び出して置く時もその置く場所となる貴人畳の角をめざして体を斜めに座ります。
茶碗、棗も、普通より右側に据えた風炉と水指を結ぶラインに置かれることになります。

この日、初めて風炉の流し点を教えていただきました。

おしゃべりなどをすると、手がおろそかになってしまうという具合でしたが、確かに距離を縮めることによって醸し出させた和やかさを感じました。


 終らない夏かと思って向かえた9月。
暑さ寒さも彼岸までと、教えがある通り、秋分の日のお彼岸の中日から、いきなり涼しくなりました。

あんなに暑かった8月。
お茶室、着物姿、たぎる湯の沸く釜の前。
それは、9月、まったく違う環境でした。

汗、少しはかいていたかもしれません。
でも、拭うほどではありませんでした。
お着物も夏用ではなかったのに…。

いただいたお菓子。
季節の栗のものでした。
8月、涼感漂う錦玉をいただいたことが、はるか昔のようでした。
季節は巡り巡って、秋です。

床の花、
薄(すすき) 水引(みずひき) 秋明菊(しゅうめいぎく)。
 
お軸は 『月にススキの図』。
分類するならば、画賛ということになるのでしょうか?
大玄書であります。

秋を存分に感じる設えでした。


 8月、季節限定のお点前、【葉蓋】 と 【洗い茶巾】 のお点前をいたしました。

葉蓋のお点前に使う水指は、本当なら、背の高い受け筒というのを使うのが、裏千家ではお約束になっているようですが、お借りしているお道具でのお稽古なので、かんにんしてくださいませ。
しかしながら、この日使った風炉先の渦や、青楓の平茶碗、葉蓋にした蓮の葉がなんとも涼しげではありませんか?

葉蓋の扱いのお点前は、HPで紹介しております。 


洗い茶巾のお点前はこちらから。


 7月は、夏休みをいただきました。
なので、約二ヵ月ぶりのお茶のお稽古です。
それくらい間が開くと、頭は真っ白。
お点前の記憶ははるか彼方です。
けれど、茶室に入って、湯の沸く音や床の茶花、そしてお茶をいただくと、この時間をあらためて、貴重な時間だということを感じます。

8月、それも今年は本当に酷暑で、35℃を越える猛暑日もかなりありました。
翌日の23日は処暑で、暑さも和らぐはずなのに、日差しはまだ真夏の光を感じ、釜を前にお点前をすることは、拷問に近いとさえ思えるほどです。
夏の茶の湯は修行ですな。
家に戻って、帯を解くとおそろしいほどの汗をかいていました。

先生も、夏は、いつもならお休みとおっしゃいます。
けれど、無理言って、お願いしました。感謝!
月に一度、この時間を持てることが、本当に楽しみですし、格別なのです。

今日、お軸は6月と同じになってしまいました。
「三級波高魚化龍」 香林書というお軸です。
この説明は、6月27日のブログに記しましたので、ご覧になってみてください。

茶花は、先生のお住まいがある富士吉田で、咲き始めたという吾亦紅(われもこう)と、釣船草(つりふねそう)不如帰(ほととぎす)。
花が帆掛船の形に似ているという「釣船草」、虫食いも景色になって風情があります。



先日の茶の湯デザインの本と同じ出版社から出ているこの本を、三井美術館のミュージアムショップで見つけ、やっぱり購入してしまいました。

千利休。
「茶の湯」を完成させたお方として、茶の湯をかじった輩だけではなく、戦国武将好きの歴女、大河好きの老若男女、いえいえ誰もがその名を知っている伝説的なお人です。
「手柄」、「過ち」、いづれなのかとクエスチョンするタイトルをつけて発売された本ですが、【功罪】という言葉をよくぞ選ばれたという思いがいたします。

茶人である編集者は、優れたデザイナーでもあった千利休を、日本初の「クリエイティブ・ディレクター」としてとらえ、実に興味深く掘下げています。

大阪商人の息子として生まれたためにその隠れたDNAは、茶道具を高値で売るという行為にも発展させたですとか、商人として成し得なかった無の境地から、生まれた原動力だとか、面白い尺度で解明しています。

プロダクトから空間、さらにはグラフィックやイベント・プロデュースにいたるまで、あらゆる分野に才能を発揮し、比類なきデザイン性の高い様々なものたちがあるわけですが、茶道具だけでなく、利休が遺したものを写真付きであれもこれもと紹介しています。

茶の湯の三巨人の違いや、各分野のクリエイターが語る利休像も面白い。

茶の湯とは何かを知らない私でも、充分楽しめた一冊です。
茶の湯は総合芸術だといいますから、物を作り出す方々には、何かをインスパイアーしてくれる気がします。

購入したpenブックスの本のブログ
【茶の湯デザイン】の記事
【もっと知りたい戦国武将】の記事

ペンブックス 千利休の功罪 (Pen BOOKS)


台子は、南浦紹明が入宋して法を受け、帰朝の際、風炉皆具一式と共に、筑前の崇福寺に伝えたのが始まりだそうです。
その後、この皆具が、京都紫野大徳寺に贈られ、一休宗純から村田珠光が台子の法を嗣ぎ、この台子によって初めて点茶式方が組み立てられたそうです。

さらに幾代か経て、紹鴎から千利休に至って、台子による茶の湯が完成させたということです。

その後考えられた数々の点茶方法は、すべてこの台子の式法が根本になっているそうです。
この台子を元として、様々な棚物が作られ好まれてきたといいます。
長板も台子の地板を元にしてできたものだということです。

真塗を基本として、及、爪紅、竹、高麗などの台子があるそうです。
台子には、風炉釜、水指、杓立、建水、蓋置を荘るのを原則として、総荘します。
杓立には、差し通しの柄杓と荘り火箸を入れて用います。

この日、お借りした台子は竹台子です。
釜は、富士釜を選びました。

そして、総荘の際、天板に置かれた棗は、芦二蛍蒔絵です。
季節を愛でたことはもちろんですが、ホタルの意匠、とても豪華でした。


上の写真は、茶碗を持って入り、水指前に置き合わせをした時のものです。

台子のお点前はこちらから。


お稽古をさせていただいているお茶室は、お道具もお借りできるのですが、お軸もその一つです。
順番に違うお作品を、一つずつと思っているのですが、今まで、お借りしていた掛け軸は、禅語のものばかりでした。
今回はというと、「三級波高魚化龍」 香林書というお軸でした。

三級波高魚化龍(さんきゅう なみたこうして うおりゅうとかす)
これは、一行書として書かれる、お言葉でした。
中国の夏王朝を開いた禹が、黄河の治水をした際、三段の瀧ができ、これを登る魚は龍になるという故事より、転じて鯉のぼりや登竜門という言葉が生まれ、立身出世の志を表しているのだそうです。 

前回、茶の湯の掛物は、茶席のために書かれたものの他、そうでないものでも茶会の趣旨に適っていればかけることができるのだと、軸の種類などを含め紹介いたしました。
大別すると書、画、書と画が一緒になった画賛の三種。
今日のお軸は、画賛かと思っていましたが、そうではなさそうです。

この言葉は、男児の節句にぴったりなのだといいます。
転じて鯉のぼりというところから、そういうことになるでしょう。
立身出世、男子の望むことでもあります。

「登竜門」 の 『竜門』とは、黄河上流にある竜門山を切り開いてできた急流のことで、その竜門を登りきった鯉がいるならば竜になるということですから、険しい道も切り開いていけば、何者かになれるという意味にもとれますでしょうか?
この日に選んだお軸もこういう解釈でしたら、不適切ということもなさそうです。

 
先生が可憐に籠に活けてくだった花は、シモツケ、アスチルべ、春咲き秋明菊です。

シモツケは、下野の国(栃木県)に多いからということでこの名前になったそうです。
五弁の小さな花がたくさん集まっている花で庭木としても栽培されています。
アスチルベは、ギリシア語で「輝いていない」という意味だそうなのですが、一つ一つの花は小さいけれど、その形態は特徴があり、変化のつけやすい花材のような気がいたします。
春咲き秋明菊の名前の由来は、花の姿が秋明菊(キンポウゲ科、イチリンソウ属)に似ていて、春に咲く事から名づけられたそうですが、北アメリカの湿潤な草原に生える多年草で、現地ではメドウ・アネモネ(別名:カナダ・アネモネ)と呼ばれているそうです。

先生がご持参してくださった香合
今年の干支。寅が描かれています。
エスニックな民芸品は、蔽と通風を両立させた簾戸に様変わりした、風炉の茶室には似合いの茶道具という印象がいたしました。
夏の佇まいに、いい雰囲気です。


茶道をたしなむ方にぜったいオススメの品です。
 
先日、【細川家の至宝】を観に国立博物館へ行った時に出会いました。

雑誌penが単行本になったシロモノです。
このところ、書店に立ち寄る時間がないものですから、全く知りませんでした。
シリーズで、何冊か出ているようです。
この他に興味をそそったのは、【千利休の功罪】 というタイトルのもの。

この本は、Penで大好評だった「茶の湯デザイン」の1+2を再編集、大幅増補した完全保存版だそうです。

商品の説明から抜粋しますと、
受け皿となる茶室空間から、しつらえの代表格である花、茶碗、茶器、茶杓といったさまざまな道具、
果ては懐石や菓子、当然、抹茶まで。
茶の湯という文化を構成する要素、その魅力のひとつひとつを広く、かつ狭く、デザインの観点から可能な限り解きほぐして味わいつくすこと、それが本書の目的である。
そうです。

確かに、かなり掘下げていますし、視点が淡交社的でないところがイイです。
歴史ある伝統文化ではありますが、新しいものの考え方、捉え方で、本は編集されています。

老若男女に触れていただきたい本です。
茶の湯の接し方が、いい意味で刺激され、変化するような気がします。

余談ですが、美術館へ行った時、必ず覗くのがミュージアムショップですが、この本に出会った国立博物館は専門書の数が凄かったです。

正倉院柄のあれこれ、尾形光琳の絵を意匠したクッキーボックスなどの雑貨も充実していました。
入場しないと立ち寄ることができない場所でもあるので、必ず寄ることをお奨めします。
ちなみに上野公園内の美術館で無料で入場できるミュージアムショップは、西洋美術館にあるそうです。


Amazonでは、この本の詳しい説明が、書かれています。


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